9月20日の国際NFTデーに合わせたかのように、NFTマーケットプレイスOpenseaにおいていくつかのアップデートがありました。
その中でも特にクリエイター、コレクターの利便性が高まったのがコレクションページに表示される指標の追加です。
これらはコレクションの基礎情報に加え、価値や人気を示す重要な指標でもあります。NFT独自の用語も含まれますので本記事で解説します。
今回は人気コレクション「CryptoNinja Partners(CNP)」を事例に解説していきます。
前提:「K」という表記について
これらの指標を見ていると「K」という単位を目にすることがあります。これは英語でKilo(キロ)、つまり1,000を意味しています。1Kであれば1,000、10Kであれば10,000、逆に0.1Kであれば100という意味です。
3つの基礎情報
まずコレクションのアイコンとクリエイター名のすぐ下にある3つの数字が基礎情報です。
基本的にこの3つの数字は変わることがありません。
- items=コレクション内の総作品数
- Created=コレクションリリース月
- Creater fee=二次流通ロイヤリティ*
CNPの場合、itemsに22.2Kとありますので約22,200作品のコレクションだということがわかります。(正確にはCNPの作品数は22,222作品ですが、ここでは100以下の数字が切り捨てられています)
作品、リリース月は2022年5月、二次流通ロイヤリティは10%ということがわかります。
以前のOpenseaのインターフェースでは、特にリリース月・二次流通ロイヤリティが作品のDetailsの欄で確認しないと見られない仕様でした。ひと目でわかるようになったことで利便性が高まっています。
*二次流通ロイヤリティとは、その作品が転売された際に自動的にクリエイターが受け取る売上のことです。仮に5%だとするとその作品が1ETHで転売された際にその売上から0.05ETHがクリエイターのウォレットに自動的に送られます。
5つの変動指標
その株にある5つの指標は常に変動する指標です。
ひとつずつ解説していきます。
total volume=総取引量
total volumeは総取引量です。VTと略されます。
これはOpenseaにおいてこのコレクションの作品の取引がどれだけあったか、を表しています。例えばそのコレクションの作品が1ETHで転売された、であれば総取引量は1ETH、となり、更に加えて10ETHで転売された場合、先程の1ETHと足して合計11ETHとなります。
CNPの総取引量は4.1K、つまり4,100ETH分の取引がなされたことがわかります。
この総取引量はコレクションの人気を示す大変重要な指標です。例えば今までのすべて期間の総取引量ランキングには著名なコレクションが並んでいます。
この総取引量は、すべての取引の和なので、増えることはありますが減ることは原理的にありません。
floor price=最低金額
NFTの保有者がその作品に価格をつけて売りに出すことを「Listする」と言います。そのコレクションの、Listされている作品のうちもっとも低い金額をFloor Price(フロアプライス)と呼びます。FPとも略されます。Floorは「床」の意味であり、最も低い金額、という意味です。
CNPのフロアプライスは0.9ETHであり、0.9ETH出せばCNPが買える、逆にいうと最低でも0.9ETH出さないとすぐには手に入らない、ということになります。
こちらのフロアプライスは人気のコレクションであればどんどん上がっていく傾向にあります。
例えば人気コレクション「BAYC」のフロアプライスは76.90ETH、そのサブコレクション「MAYC」のフロアプライスは15.10ETHとなっています。
※総取引量トップの「CryptoPunks」のフロアプライスが表示されていない(”ー”になっている)のは誰もListしていない、売ろうとしていないためです。
best offer
Openseaでは個々の作品ではなく、コレクション全体に対してオファーを出すことが出来ます。つまり「このコレクションの作品であればどれでもいいから、この価格で欲しい」という場合に出せるオファーです。そのオファーのうち最高値のものがこの「ベストオファー」です。CNPのベストオファーは現在0.77ETHです
このベストオファーとフロアプライスの差がないほど、購入者はフロアプライスで購入してもいわゆる「損切り」がしやすいということが言えます。
listed
作品内の何%がListされている、つまり売りに出されているか、という意味です。これは低ければ低いほど「誰も売ろうとしていない≒人気が高い」ということが言えます。
CNPの場合、全体の3%、つまり約600体ほどしか売りに出されていないということになります。
unique owners=オーナー分散率
これは「この作品を保有しているオーナーウォレット数/作品数✕100」で求められる数値です。
仮に全100枚のコレクションの作品を、全てのウォレットが1枚ずつ、100ウォレットが保有していた場合、オーナー分散率は100/100✕100=100%になります。
反対に100枚を1ウォレットが買い占めていた場合、1/100✕100=1%となります。
そのコレクションが少数のウォレットによって買い占めていた場合、そのウォレット保有者の意向によってコレクションの方向性が決定づけられる可能性があります。一概には言えませんがこの分散率は高いほうが急激な価格変動などは避けられる可能性が高いともいえます。
※分散率についてはコレクションの作品点数・運営方針にもよるので一概に高いほうがよい、低いほうがよいとは言えません。
CNPのオーナー分散率は22%となっています。CNPはリリース時、非常に低価格で販売されたため、まとめ買いが多く発生したことが要因の一つになっており比較的低めの分散率になっていると考えられます。
対象的に、先日リリースされたばかりのKUMALEONコレクションは分散率が59%と高くなっています。
これは、
- Allowlistフリーミントで1ウォレット1mintしか出来なかったこと。
- リリース後すぐに人気ですぐにフロアプライスが上がったこと。
- 作品点数が3,000点と比較的少なめであること。
などが要因と考えられます。
まとめ
以前からNFTトレーダーの多くはこれらの指標を参考に投資対象を検討していましたが今回の仕様変更により簡単に確認できるようになりました。一般クリエイター、コレクターにとってもこれらの指標は自身のコレクション運営、NFT売買の参考指標になり得ると考えられます。